ブログ

コラムVol.8 エコってなんだろう?(2)

落花生畑とヒマワリ.jpg
暑かった夏も行こうとしています。地球温暖化どころじゃないですね。「地球猛暑化」でしたね?夏バテが続いています。冷えたビールで命をつないでいる感があります。(エコじゃない!)
前号からの間に畑の方は、ジャガイモの収穫が完了し、我が家はすっかりジャガイモ大臣です。ちなみに収穫したジャガイモの種類は、十勝こがね、スタールビー、インカのめざめ、アンデス赤、キタアカリ、インカのひとみ、シンシア、さやか、メークイン、男爵となります。色とりどりのジャガイモ料理を毎食楽しんでいます。スイカも今年はカラスよけにかごをかぶせたのが功を奏したのか、小さいながらもそこそこ甘いのが収穫できました。枝豆はその後も葉が育つばかりで何故か2年連続×でした。落花生は、ヒマワリに見守られて花が咲き終わり、地面に向けて子房柄を伸ばしています。サツマイモは収穫に向けて蔓が伸びきっています。

畑の守護神ナミテントウ.jpgノシメトンボ.jpg

筑波山麓のこのあたりは昆虫が豊富で、この畑にも沢山の昆虫がやってきます。ごく一部を紹介しますと… ナナホシテントウやナミテントウがアブラムシから作物を守ってくれています。トンボやヤンマが畑の上空を哨戒飛行しています。ウリハムシの大群に襲われて、カボチャは育たないうちにほぼ全滅しました。
サトイモの葉についていたスズメガ(セスジスズメ?)の幼虫はつぶさずに道を挟んだ雑木林に捨てました。(畑メンバーの皆さんごめんなさい!多分戻って来ないと思います。)木陰で休んでいるとオオヒラタシデムシの幼虫や成虫が忙しそうに傍らを通り過ぎて行きます。畑の土を耕していると堂々たるクロオサムシが昼寝を妨げられて不満げに逃げていきます。小さいのであまり目立ちませんが土の中や堆肥だまりには同じオサムシ科に属するゴミムシがたくさんいて、せっせとゴミを消化してくれています。
私の中学・高校時代の友人に歯科医をやる傍ら、このゴミムシを専門で収集して既に100種もの新種のゴミムシを発見した、というどちらが本職か分からない変わり者(?)がいます。この友人が9月23日の青学同窓祭(http://www.aogaku-doso.jp/)の公開講座で中等部同窓代表としてゴミムシの話をしますので、このコラムをお読みの青学関係者の方はぜひご参加ください。ついでにちょっと足をのばしてテネリータ南青山店に寄っていただければ、喜ばしい限りです。
さて、これまで、農薬、遺伝子組換え、地球温暖化の側面からオーガニックコットンの環境貢献についてお話ししてきました。オーガニックコットンはエコな繊維であると結論づけることになりますが、もう一度「エコってなんだろう?」に立ち戻ってみましょう。
エコポイント制度を利用して地デジ対応テレビを購入したり、エコカー補助制度を利用して車を買い換えた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?「エコ」ってもちろんエコロジーのことですよね。でも、より大型の家電製品の方がポイントが高い点、軽自動車の方が補助金が少ない点などを指摘して地デジ移行や販売促進が主目的の「エコノミー」の略ではないか、とする論説が多く見られます。ちなみに「エコノミー」の「エコ」も語源は同じで「家の」を意味し、エコノミー(経済)はギリシャ語の「家政術(οικονομία)」に由来します。これはてっとり早くWikipediaからの引用ですが、Wikipediaには「エコ」は「エコロジーとエコノミーの両方の意味を兼ねることがある」との記載もありますので、エコポイントやエコカーの「エコ」も両方の意味をもっているのでしょう。
エコな繊維のオーガニックコットンも商品として製造販売している以上、もちろん「エコノミー」の意味も含んでいます。ただし、手間ひまをかけて土作りから始めるオーガニック農業作物ですから「お買い得品」といった意味の「経済的な」繊維というわけではありません。オーガニックコットンの「エコ」はやはり「エコロジー」の意味合いが強いものです。
では、オーガニックコットンはこれまでのコラムで述べてきたほど「エコ」な繊維なのでしょうか?地球温暖化、遺伝子組換え、農薬の順に遡ってみましょう。
[1]地球温暖化: ロデール研究所の試験は「目的に合わせてうまく設計されている印象がある」と書きましたが、慣行農業試験例でも窒素肥料施肥量の設定を変更すれば、土壌への炭素隔離能力が向上するかもしれない、と思ったからです。試験結果は事実ではありますが、普遍的な真実とは別のものです。
畑土壌中に存在するのは菌根菌だけではありません。確かに固定した炭素が能動的に生きた植物体から土の中に移行するメカニズムを説明するには菌根菌が唯一のものかもしれません。しかし、枯死した植物体や作物を食べた害虫の虫体や排泄物として土壌中に移行する炭素も少なからず存在します。植物の根との相互作用が及ぶ範囲(根圏)の土壌中には微生物から昆虫、ミミズ、モグラまで多数の生き物が生息しています。根圏生物は呼吸により二酸化炭素を排出しますので、根圏生物の豊富なオーガニック土壌はより多くの二酸化炭素を排出しているとも考えられます。
コットンはそれ自体、大気中の炭素を固定したエコな繊維であることは明白です。オーガニックコットンに関するWEB上のいくつかの記載を裏付けるためにロデール研究所のWEBマガジンを紹介しましたが、地球温暖化への影響は、(非オーガニックコットンとの比較において)オーガニックコットンの主要な環境貢献ではないと思います。
[2]組換えワタ: 食用ではないワタについてはBT毒素の残留は問題になりません(コットンにはそもそも残らない?)。コットン以外の綿実油や綿実粕を食料や飼料として有効利用するならば話は別ですが…。
交雑や組換え遺伝子の水平伝達による生物多様性への影響はワタでも同様に問題で、これが組換えワタを退けるべき最大の理由です。技術的に未成熟な状態で安易に野外で利用するべきではありません。しかし、交雑や遺伝子の水平伝達性を低減したり無くしたりする組換え技術の研究は続けられており、個人的には組換え技術が十分に成熟し、生物多様性への影響が限りなく低くなった時点で、農薬使用に代わって採用すべき技術だと思います。
ただ、このような組換え作物の種子は一部の大企業により生産供給され、発展途上国の貧しい農業者の経済的負担を増すことになるでしょう。エコノミーの観点からもこのような農業者にとってオーガニックコットンは「エコ」な農産物であり続けるのではないでしょうか?
[3]農薬: 安全性が高く残留性の低い農薬を十分なコントロールの元に使用することは、莫大な個体数を持つ大型温血動物である人類を養うための食糧生産に必要であり、容認せざるを得ません。ただ、医薬品ほどの純化が経済的に困難で大量に生産される農薬には、安全性が低く残留性の高い不純物が含まれる可能性があります。また、農薬が生物体内で代謝されることにより生じる代謝物の中にも同様な化学物質が存在する可能性があります。諸般の事情で省略しますが、これ等には実例があります。どれほど安全性が高くても、害虫や雑草に負の影響を与える化学物質である農薬やその不純物、代謝物が、生物多様性や農業生産者の健康に及ぼす長期的な影響を避けることは困難です。また、発展途上国のワタ農家が安全性が高く残留性の低い高価な農薬を選択することは難しいでしょう。ワタ栽培に農薬を使用しないことこそが、オーガニックコットンが「エコ」な繊維である最大の理由であり、この環境貢献を付加価値として認められる商品であって欲しいと思います。
今回は、引例を示して具体的な根拠をもとにお話しするという本コラムのスタイルを崩して、執筆者の主観を交えて書かせていただきました。内容の繰返しや言葉足らずの点があることはお赦しください。
今回でワタ植物の栽培面からオーガニックコットンの「エコ」についてお話する「ワタ篇」を終了し、紡糸、精練、染色などの側面からアプローチする「コットン篇」に移りたいと思います。畑も秋の収穫レポートに移って行きます。
(知的財産部 岩崎)

Twitterに投稿